「のど」ってどんな器官なの? 解剖学の研究者に聞いてみました。

このコラムを読んでいる方は、のどのお悩みを持つ方が多いことでしょう。 そもそも、人間の身体にある「のど」とはどのような器官なのでしょうか。 のどケア.com編集部 垣内が東京大学 総合研究博物館の遠藤教授に聞いてみました。

のどケア情報 2018/02/02

このコラムを読んでいる方は、のどのお悩みを持つ方が多いことでしょう。

そもそも、人間の身体にある「のど」とはどのような器官なのでしょうか。

のどケア.com編集部 垣内が東京大学 総合研究博物館の遠藤教授に聞いてみました。

 

Q.「のど」ってずばり何ですか?

A.「咽頭(いんとう)」と「喉頭(こうとう)」のことをいいます。

口を開けた時に、見えているのが「咽頭」、見えている口の中の壁が咽頭の壁です。

その奥で垂直に伸びている部分も咽頭にあたります。

「喉頭」は、食道とは無関係の空気の通り道です。喉頭は咽頭の終わりにあり、喉頭で食道と気管の2つの道に分かれます。

 

また、喉頭には食べ物や水分が気管に入らないようにフタをする役目もあります。

このフタを「喉頭蓋(こうとうがい)」といいます。

水を飲むときに、このフタが閉じて水が気管に入らないようになります。笑わされてせき込むのは、フタをするタイミングを間違ったときに起こります。

              

 

Q.発生学的に「のど」という器官はどのようにできたのですか?

A.その昔、魚はえらで呼吸をしていたため気管も肺もなく、口と食道しかありませんでした。

脊椎動物が上陸し、えらに代わって空気を取り入れる器官として、肺と気管ができました。

「イクチオステガ」という動物の段階で気管ができて、現動物の「のど」の形になりました。

(※現代の生物ではサンショウウオに近い)

 

現代人のタイプの「のど」になったのは、猿人の時代、つまり約500万年前からです。

 

Q.のどからどのように声を出すのですか?

A.声を発する「声帯」という器官が喉頭の部分にあります。

声帯の「声帯ひだ」という部分が震えて音が出るので、声帯は音を作り出す装置といってよいでしょう。

口から咽頭にかけては音を調整する装置です。

何らかのトラブルで舌を切ってしまい、しゃべれなくなるのは、舌が音の調節をしているからなんです。

 

 

遠藤 秀紀(えんどう ひでき)

1965年東京都生まれ。東京大学農学部卒業。国立科学博物館動物研究部研究官、京都大学霊長類研究所教授を経て、現在、東京大学総合研究博物館教授。博士(獣医学)、獣医師。動物の遺体に隠された進化の謎を追い、遺体を文化の礎として保存するべく「遺体科学」を提唱、パンダの掌やイルカの呼吸器などで発見を重ねている。著書に『東大夢教授』(リトルモア)、『人体 失敗の進化史』(光文社)、『ウシの動物学』『哺乳類の進化』(以上、東京大学出版会)、『パンダの死体はよみがえる』(筑摩書房)などがある。

遠藤教授 ありがとうございました。

続いては「人間と動物ののどの違い」について聞いてみました。