動物はどんな「のど」をしているの?解剖学の研究者に聞いてみました。

さらに深掘りして東京大学 総合研究博物館の遠藤教授に、動物の「のど」について聞いてみました。

のどケア情報 2018/02/05

『「のど」ってどんな器官なの?解剖学の研究者に聞いてみました。』の記事では、のどがどのようにできたのか詳しく学びました。

そこでさらに深掘りして東京大学 総合研究博物館の遠藤教授に、動物の「のど」について聞いてみました。

 

Q.人間の「のど」と動物の「のど」はどのように違うのですか?

A.人間の「のど」は咽頭から喉頭にかけて垂直に走っています。

全ての生物の中で、のどが垂直に走っているのは人間だけで、どんな動物もこんなに垂直には走りません。

動物は、咽頭・喉頭が水平に伸びているだけで、その長さも人間に比べるとだいぶ短いです。

人間は、直立二足歩行になった時点でのどが90度に垂直に曲がりました。

Q.二足歩行をしたことで「のど」ができたのですか?

A.500万年前、人類が直立二足歩行をしました。

直立した直後は、チンパンジーと同じ脳の大きさでしたが、前足(両手)で細かい作業をするようになったことで脳の発達が促されました。

そして直立二足歩行によってかかる重力によって、喉頭が下がり、複雑な音声を発することができるようになりました。喉頭が下がらないと声が出せません。

脳が大きくなったことで、同時に人間は複雑な言語を発することができるようになったのです。

 

 

狼がウォーと吠えたり、豚がブーブー鳴くのは咽頭が水平でもできますが、咽頭から喉頭が垂直に落ちていないと複雑な言語は出せないと言われています。

立ち上がる、つまり直立二足歩行になることが全てを決めているのです。

人間の脳が大きくなったことが、複雑な音声を出すのに必要な条件でした。

 

直立二足歩行をしないと脳が大きくならないため、難しい言語は話せません。

また、口から喉頭までの距離が長くならないと複雑な音声は出せません。

頭が良くなると同時に、音を作り出す装置もうまくできあがっていきました。

進化していく過程で、脳と「のど」は絡み合っていったのです。

 

Q.四足歩行でもカンガルーみたいに立っている動物はどのような「のど」を持っているのですか?

A.カンガルーがたまたま立っただけで、人間のようなのどにはなりません。

一時的に立っているので、基本は四足歩行の動物と同じ構造です。

生きている間中、重力がかかるのは人間だけで、重力がかかることでのどが伸びて落ちました。

人間に似ているサルも、イヌと同じ四足歩行の動物に似たかたちになります。

 

Q.人間より大きい動物、例えばパンダの咽頭はどのくらいの長さですか?

A.人間より大きい動物でも、咽頭は人間より短いのが一般的です。

人間は口から咽頭にかけての距離が長く、音を調整する役割を持っているため、人間は複雑な言語を発することができるのです。

 

 

Q.九官鳥やオウムのようによくしゃべる動物の「のど」はどのようなつくりをしているのですか?

A.九官鳥やオウムは、気管支で声を出しています。

鳥の気管支は「鳴管(めいかん)」という特別な名前で呼び、しゃべることができる鳥はこの鳴管が発達しています。

鳴管では、二つに分かれている管の左右別々に動かすことができるため、いろいろな音を出すことができます。

 

 

 

遠藤 秀紀(えんどう ひでき)

1965年東京都生まれ。東京大学農学部卒業。国立科学博物館動物研究部研究官、京都大学霊長類研究所教授を経て、現在、東京大学総合研究博物館教授。博士(獣医学)、獣医師。動物の遺体に隠された進化の謎を追い、遺体を文化の礎として保存するべく「遺体科学」を提唱、パンダの掌やイルカの呼吸器などで発見を重ねている。著書に『東大夢教授』(リトルモア)、『人体 失敗の進化史』(光文社)、『ウシの動物学』『哺乳類の進化』(以上、東京大学出版会)、『パンダの死体はよみがえる』(筑摩書房)などがある。

人間は全生物の中でも特殊な「のど」の作りをしているのですね。

 

動物と人間で異なる「のど」の作りを知り、のどケアに活かしていきましょう。

 

遠藤先生、ありがとうございました。